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2004 年度 実績報告書

フランス現代文学にみる「他者性」あるいは「文学性」の再創造

研究課題

研究課題/領域番号 16720055
研究機関筑波大学

研究代表者

黒岡 美登里  筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 助教授 (80361294)

キーワード文学 / ヨーロッパ / フランス現代文学 / エクリチュール / パスカル・キニャール / レトリック / ジェンダー / 声
研究概要

フランスの現代作家パスカル・キニャールの作品、主にフィクション・批評作品をとおして、現代フランス文学が直面する「文学性」の再定義の問題に取り組んだ。キリスト教文化とヨーロッパ哲学の伝統によって立つ現代文学作品は、自己の脱構築作業(ジャンルの崩壊、越境性、不可能性へと向かうエクリチュールなど)の過程において、必然的に文学の「他者性」を生むことになり、その関係性において自己を再規定する必要に迫られるといえる。「他者性」のなかに「自己」の独創性を探る経緯は、多くの現代文学を特徴づけるものであるが、得にパスカル・キニャールの作品においてこの傾向は顕著である。キニャール作品は、文学理論、言語思想、芸術論、ジェンダー論を交差させることによって、独自の「文学空間」をつくりあげるものであるが、その根幹にあるのが、芸術の無からの創造の全否定である。文学作品は、常に「移動」され「書き換えられ」るものであり、常に「逸脱」することによって新たな空間へと自己を放出する。しかしこの「逸脱」は存在論的な意味をもつ前に、「言語の媒介性」によることを再確認しなければならない。エクリチュールの営みは、作家の意図的な操作が施されるまえ(en deca)に、「ことば」の密かな、沈黙の営みを想定しなければならない。キニャール作品は、この「ことば」の営みを「沈黙の声」として、虚構空間に現前させる。虚構空間である文学空間は、レトリックと「失われた声」との緊張としてあらわれるのだ。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Hypotheses de la voix : voix, litterature, traces de la resonnace2005

    • 著者名/発表者名
      Midori OGAWA
    • 雑誌名

      Pascal Quignard, figures d'un lettre

  • [雑誌論文] De l'erotisme a la melamcolie : exemples romains dans l'oeuvre de Pascal Quiganrd2005

    • 著者名/発表者名
      Midori OGAWA
    • 雑誌名

      Actes du colloque Sexe et Texte au Xxe (publies par les Presses universitaires de l'Uninversite de Grenoble)

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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