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2005 年度 実績報告書

フランス現代文学にみる「他者性」あるいは「文学性」の再創造

研究課題

研究課題/領域番号 16720055
研究機関筑波大学

研究代表者

黒岡 美登里  筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 助教授 (80361294)

キーワード文学 / ヨーロッパ / フランス現代文学 / エクリチュール / パスカル・キニャール / マルグリット・デュラス / レトリック / ジェンダー
研究概要

平成16年度は、主にフランス現代作家パスカル・キニャールの作品研究を通して、現代フランス文学が直面する「文学性」の再定義の問題に取り組んだが、平成17年度は研究範囲をさらに広げ、マルグリット・デュラスとの比較において研究を試みた。両作家に通低する共通点は、言語が本来持つ機能性の境界を限界まで推し進めることによって、言語が露呈する「表現不可能性」や「ジェンダー」といった問題を提起することである。言語の中で試みられる「言語意識の生成」が、とりもなおさず作家独自の「虚構空間」・「小説空間」を作り上げていることを、具体的な作品をとおして分析した。
キニャールとデュラスを結びつけるもうひとつの接点は「異品種交配」metissageである。両作家において、作品を生み出す源であるイマジネールにおける「多文化性」「多言語性」は、葛藤ではなく新たな芸術形態を生み出すうえで不可欠である。芸術創造は、したがって、「無からの創造」ではなく、「他者」との「差異」・「距離」によってなされるものであることを分析した。近年、クレオール文化などを通じて、フランス文学の中にジェンダー的な視点がもちこまれたが、いわゆるフランス国内の作家たちにおいても「他者性」を含んだ意識が見られることが証明できたとおもう。つまり文化的な差異は、単なるきっかけ、外的要因でしかないのだ。重要なのは「差異」の概念が言語を媒介として表現の可能性を得られるかどうか、ということである。
研究成果の一部をフランスにおいて発表する機会が得られた。とくに、パリ第八大学教授ミレイユ・カール=グルバー氏の召喚により、2ヶ月間パリ第八大学にて大学院向けの講義を担当し、報告者の課題である「フランス文学における「他者性」に関して発表することができたのは、非常に大きな成果である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] La voix en souffrance ou internal difference- la voix dans 1'oeuvre de Marguerite Duras2005

    • 著者名/発表者名
      Midori OGAWA
    • 雑誌名

      L'Eclats de voix, etudes reunies par P. Lecroart et F. Toudoire-Surlapierre Paris L'Improvi ste

      ページ: 95-109

  • [雑誌論文] La voix (des)incarnee2005

    • 著者名/発表者名
      Midori OGAWA
    • 雑誌名

      Cahier Marguerite Duras (coll. Lettres Modernes) No.1 Minard

      ページ: 93-108

  • [雑誌論文] Hypotheses de la voix : voix, litterature, traces de la resonance2005

    • 著者名/発表者名
      Midori OGAWA
    • 雑誌名

      Figure d'un lettre, Actes du colloque international de Cerisy-la-Salle Paris Galilee

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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