平成16年度に引き続き、平成17年度においては、まず、平成16年度の補助金により資料調査を行なったインド資料調査旅行の成果として、インド刑法やインドにおける19世紀医療の背景を探りながらキプリングの数編の短編を考察した、「忠誠と背信のダイアグラム--恐怖と欲望にみる植民地支配の相関力学」が2005年4月に彩流社から、橋本槇矩・桑野佳明編著による『キプリング 大英帝国の肖像』において収録となった。また、キプリングを考える上で、同時代の19世紀のヒューモリストであるチャールズ・ゴドフリー・リーランドを、同時代の文化的アイコンとして考えることにより、彼の言語的・民族的・文学的アプローチが、いかにキプリングに影響を与えつつ、またキプリング文学を再読する上での重要な人物について考察した。その成果は、2006年3月月刊の『北星論集』第43巻第2号に、"Two Hans Breitmann : Rudyard Kipling and Charles Godfrey Leland"となって結実した。
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