本年度は、主として国内外の主要な漢籍所蔵機関の「漢籍目録」を利用して、明代の「八股文」資料の所蔵状況を整理した。 まず、「全国漢籍データベース」(全国漢籍データベース協議会)、「内閣文庫管理サブシステム」(国立公文書館)、「漢籍オンライン検索」(東洋文庫)ほかを利用して、オンラインで資料検索を行ったあと、各所蔵機関の漢籍目録に直接当たって明代の「八股文」の選集と思われるものをリストアップしていった。また、台湾所蔵の資料については、同様にオンライン検索を行ったあと、『台湾公蔵善本書目』等に当たってリストアップを行った。一方、中国大陸所蔵のものについては、もっぱら『中国古籍善本書目(集部)』に基づいてリストアップを行ったのみである。 上述の作業に基づき、まだ不完全なレベルではあるが、来年度以降の調査・研究の基礎となる「明代八股文資料のリスト(稿)」が一応出来上がった。 他方、本年度の5月から10月にかけての時期には、『欽定四書文』、『可儀堂一百二十名家制義』、『皇明歴科程墨名山集』の内容について調査を実施し、また11月以降は、新たに尊経閣文庫に複写を依頼した資料二件(『墨巻選』『尚書程墨』)についても調査を行った。 上記に加えて、明初における八股文の成立の問題に関する研究も並行して遂行した。そして、その関連で、平成17年2月には、南京図書館、上海図書館において資料調査を実施した。
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