研究概要 |
本年度は「平成16年度科学研究費補助金交付申請書」に記載した通り,中期朝鮮語諸文献の撮影・調査及び,各種データベースの作成を中心的に行った。電子化した資料の主なものを挙げると以下の通りである。 ●東京大学文学部小倉文庫所蔵(金剛般若波羅蜜經,金剛般若波羅蜜經[諺解],妙法蓮華經[諺解](巻1,2,3,4,5,7),楞厳経諺解(巻4,5,9),禪家龜鑑,般若心經[諺解]) ●宮城県図書館所蔵(小學諺解) ●蓬左文庫所蔵(救急方諺解,内訓) ●内閣文庫所蔵(孟子諺解,四聲通解) その他東洋文庫所蔵『牧牛子修心訣』についても調査を行った。 撮影した文献の写真と原本調査に基づき,現在,各文献について形態素分析しつつ,全文入力作業を行っている。また本年度は,撮影文献以外にも,影印本に基づき何種か中期朝鮮語文献のテキストデータを作成した(『六祖法宝壇経諺解』,『真言勧供・三壇施食文諺解』,『誡初心学人文・発心修行章・野雲自警序』,『四法語諺解』)。これらの文献に記載されたアクセント情報についても,本研究の目的である「中期朝鮮語アクセント辞典」に利用するつもりであり,既に辞典の項目として入力済みである。なお『六祖法宝壇経諺解』,『真言勧供・三壇施食文諺解』については,そのアクセントとイントネーションに関し新たに特異な性質を発見したため,論文(『六祖法宝壇経諺解』『真言勧供・三壇施食文諺解』の音韻的特徴」)にまとめ,発表した。 科学研究費補助金は,本研究において最も重要な補助資料となる中期朝鮮語文献の撮影・電子化費用に主として用いた他,画像処理に適したPC,ハードディスク,メモリの購入費,また資料をプリントアウトするためのカラーレーザープリンター購入費等として活用した。今回の文献調査は東京所在のものに限って行ったため,旅費は使用しなかった。
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