現地調査:2005年8月7日〜27日にショオ語海豊方言の語彙・文法・民話調査、ショオ語博羅方言と増城方言の音韻・語彙調査および現地の風俗・習慣に関する調査を行った。その際、香港中文大学の郭必之博士に同道してもらい、周囲の中国語方言研究の専門家としての専門的知識を提供していただいた。本調査により、すでにかなり記述が進んでいる海豊方言以外のショオ語方言に関しても、音声・語彙・文法の基礎的な資料が揃った(録音済)。また、現地の風俗・習慣に関しては、これまでほとんど調査されたことがなかったが、単なる事実のみならず儀礼等に伴う語彙も同時に収集したため、言語学的にも価値が高いと考えられる。最終年度は、二年間の調査結果に基づいて、補充調査を行いつつ、四方言の対照基礎語彙集の出版と四方言地域の現状および風俗・習慣の記述を行い発表することが目標となる。 研究発表:一、2005年10月28日〜31日に中国福建省アモイ大学で行われた第38回国際シナ・チベット言語学会に参加し「ショオ語の調類とその来源」と題する発表を中国語で行った。本発表は、現代ショオ語の各調類がどのように形成されてきたのかを探求したものである。二、2005年12月23日〜24日に中国広西チワン族自治区広西民族学院で行われた瀕危語言国際研討会に参加し、「ショオ語の現状とサルベージ活動」と題する発表を中国語で行った。本発表は、ショオ語各地域の社会状況および言語使用状況を報告し、研究代表者が作成したショオ文字によるショオ語のサルベージ活動について、その特色と問題点を取り上げたものである。一・二の報告は共に、2006年度中に雑誌論文として公表予定である。
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