研究概要 |
本年度は以下の研究を行なった。 1.先行研究の整理:奈良田の方言・言語生活に関する先行研究・文献を収集し,文献データベースを作成した。また,先行研究の奈良田方言の記述について,音韻・文法等の項目ごとに整理し,データベース化した。 2.自然談話の収集とその分析:これまでに公開されている奈良田方言の自然談話資料を収集し,その文字化の再検討,音韻・語彙・文法等の方言的な特徴の分析を行った。また,奈良田方言の高年層女性話者1名による昔話の語りをあらたに収録し,その文字化を行なうとともに,そこに現れる音韻・語彙・文法上の特徴を分析した。 3.面接調査とその結果の分析:奈良田の伝統的方言の音韻・文法,言語生活についての質問調査を行った。主に高年層の男性話者1名,女性話者1名を対象とし,音韻・音声項目(四つ仮名の区別,アクセント等),文法(格,とりたて等副助詞,用言の活用,テンス・アスペクト,等),言語生活,方言の切替意識等に関する質問調査を実施し,その結果を分析した。また,高年層男性話者1名による,特徴的な音韻・音声を含む単語の発話や,文法上の特徴を含む短文(主に国立国語研究所『方言文法全国地図』の質問文を参考にした)の発話を録音した。現在,その一部を音声資料として公開する準備を進めている。
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