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2006 年度 実績報告書

主語の格と一致に関する共時的・通時的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16720114
研究機関名古屋大学

研究代表者

田中 智之  名古屋大学, 文学研究科, 助教授 (20241739)

キーワード主語 / 格 / 一致 / 補文標識 / 不定詞節 / 不定詞形態素 / 不定詞標識
研究概要

本年度は、前年度に行った英語史における不定詞節の語彙的主語の認可に関する研究を踏まえ、Cによる主語の格と一致の認可に関する研究のまとめを中心に行った。基本的には、これまで考えてきた仮説を維持することになり、CとTの両方が揃ってはじめて主格が認可されるという結論に至った。CはあるがTはない構造の事例としてある種の空所化があり、そこでは主語として主格ではなく対格名詞句が現れる。一方、TはあるがCはない構造の事例として、英語の主語省略現象とバルカン語の仮定法節があり、そこでは通常主格主語は許されないが、一旦Cが導入されると主格主語が義務的となる。以上の経験的事実から、主語の格と一致の認可にはTだけでなくCも関与しており、具体的にはファイ素性を持つCとの一致によって主格が認可されると結論付けた。Chomsky(2005,2006)においても、CからTへのファイ素性の継承を仮定しており、やはりCがなければ主格が認可されないと主張されている。2つの提案は経験的事実に関する予測はほぼ同じであるが、ChomskyではTへの素性継承によりCにはファイ素性は残っていないはずなので、ゲルマン語の定形節やケルト語の不定詞節に見られる、いわゆる補文標識一致現象が説明されない。
前年度の中心的テーマであり、上記の仮説を支持する有力な証拠であった、英語史における不定詞節の語彙的主語の分布に関する研究からは、不定詞形態素と不定詞標識toの変化を含めた不定詞節の構造に関する包括的研究に発展しており、その成果の一部がThe Journal of Comparative Germanic Linguisticsに掲載される予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Inversion in Small Clauses in the History of English2007

    • 著者名/発表者名
      Tomoyuki Tanaka
    • 雑誌名

      Exploring the Universe of Language : A Festschrift for Dr. Hirozo Nakano on the Occasion of His Seventieth Birthday

      ページ: 373-387

  • [雑誌論文] The Rise of Lexical Subjects in English Infinitives2007

    • 著者名/発表者名
      Tomoyuki Tanaka
    • 雑誌名

      The Journal of Comparative Germanic Linguistics 10巻1号(印刷中)

  • [雑誌論文] On Case Licensing of Infinitival Subjects in Middle and Modern English2006

    • 著者名/発表者名
      Tomoyuki Tanaka
    • 雑誌名

      近代英語研究 22号

      ページ: 47-69

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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