研究概要 |
平成16年度研究計画・方法に従い、次の3つの課題の遂行にあたった。 (1)音声に関わる現象をまとめ、音韻的様相と物理的様相に起因するものとに、分類する作業。 (2)弁別素性理論を代表とする、諸素性理論で用いられてきた音韻範疇を言語学的な側面のみならず、物理的側面から再考し、既存の音韻範疇の問題点を明確にする作業。 (3)(2)で浮き彫りにされた問題点を解決するための素性モデルを構築し、その妥当性を検討する作業。 (1)に関しては,音韻的対立に寄与しない物理的様相を音韻表示から排除することに力点を置き,音韻分析で用いるべき範疇を明らかにした。(2)については、(1)を受け、従来考えられてきた弁別素性理論の再考をし、そこでみられる問題点を解決するために、できるだけ余剰表示を排除した素性モデルの考案をおこなった。(3)では、言語獲得過程に観察される音韻現象と英語を代表とする諸言語でみられる音韻現象の分析を通して、考案したモデルの妥当性を検証した。 上記のいずれの研究も,国内外の研究機関(主に,ライデン大学とロンドン大学)との情報や意見の交換をもとに遂行された. 上述の研究成果は、平成16年9月にオランダ・ライデン大学で開催されたDevelopmental Paths in Phonological Acquisitionと,同年12月に同大学で開催されたLooking for Generalisations - A Workshop on the Representation of Consonantsにおいて、それぞれ,"The acquisition of laryngeal - source contrasts by Japanese infants"と"Consonantal representations in Element Theory : markedness and complexity"の研究発表を通して報告された.
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