研究概要 |
本研究は,日本語母語話者,並びに,学習者の「提案」と「提案に対する同意・不同意」の会話データを数多く収集し,質・量の両面において提案の談話構造を解明し,言語行動の研究,及び,日本語教育の改善に資することを目的とする。 本研究では,「提案」及び「提案に対する同意・不同意」の言語行動に関連して,以下の三つの項目 (1)「提案」及び「同意・不同意」の発話が有する言語的・韻律などの音声的特徴 (2)「提案」及び「同意・不同意」の発話により構成される談話の構造 (3)「提案」及び「同意・不同意」の言語行動に見られるストラテジー について,日本語母語話者の提案の談話の特徴を明らかにし,また,日本語母語話者のそれを,初級・中級・上級の日本語学習者の中間言語である日本語の特徴と比較対照することで,(1)(2)(3)についての学習者の言語習得の様相を明らかにする。 平成16年度は,「提案」及び「提案に対する同意・不同意」があらわれる会話の音声データ(日本語母語話者のデータ二人一組20組,日本語学習者のデータ15組)を収集し,文字化・分析を行った。また,日本語母語話者のデータをもとにして,次の論文を執筆した。「提案に対する反対の伝え方-親しい者同士の会話データをもとにして-」,『日本語学』,明治書院,2004年8月,23巻10号,pp.22-33。
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