研究概要 |
1.初年度から第2言語習得に対するフィードバックの効果に関する文献研究を進めている。その結果を、英語論文"The Effects of Recasts on Second Language Acquisition"(言い直しが第2言語習得に与える効果)にまとめた(発表予定)。フィードバックが与えられる条件(回数、期間、モード)や、対象となる文法形式、そしてテスト方法が異なるため、先行研究は統一した結論を見出せておらず、研究の余地があることが明らかとなった。 2.研究の目的の1つである「英語学習者の発達段階の測定具の開発」に関する研究については、初年度からデータ収集等を行った。この研究成果に関して、第31回全国英語教育学会札幌大会(北海道教育大学札幌校)において「処理可能性理論に基づいたL2リスニングテストの開発」という題目で口頭発表を行った。さらに、加筆修正し、論文発表を行った(酒井,2005)。主な結果は次の通りである。Pienemann(1998)の処理可能性理論に基づくリスニングテストの開発・検討を行った。大学生62名のテスト結果に基づき、発達段階3と4、3と5、5と6の項目を用いれば発達段階が特定できること、習得の基準として意味理解が100%かつ一致に関する判断が50%以上の正答率であることが、scalabilityの高さ、不適合の人数の少なさ、正答率の順番から考えて、妥当であることなどがわかった。 3.学習者の発達段階がフィードバックの気づきに及ぼす影響について、内省法の一種である回想的報告(retrospective report)という手法を用いて、データを収集し、分析の試みを行った。
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