研究概要 |
「直接的な意味指導(教師が意味を提示):Answer」・「文脈による意味推測(学習者が文脈から意味を推測):Context」という気づかせ方と、「気づきのみ」・「推測後の直接的な意味指導」・「インプット処理(学習者が気づいた語を含む文章を和訳):Input」という気づきの強化の仕方の関係が、未知語の意味の保持に及ぼす影響について、以下の仮説をもとに実験を行った。 1.文脈とインプットの両方を与えた方が、どちらかのみを与えるよりも、より多くの目標単語の保持につながる。 2.インプットを与えた方が、文脈を与えるよりも、より多くの目標単語の保持につながる。 3.文脈と意味の両方を与えた方が、どちらかのみを与えるよりも、より多くの目標単語の保持につながる。 4.文脈を与えた方が、意味を与えるよりも、より多くの目標単語の保持につながる。 5.気づき後にインプットを与えた方が、気づきのみよりも、より多くの目標単語の保持につながる。 まず9種類の目標単語と6組の被験者グループを設定した。そして、プリテストを与え、その後グループ毎に異なる6種類の教育的介入(CAI: Contxt + Answer + Input, CA, C, CI, A, AI)を施した。そして、介入の直後と1週間後にテスト(リスト上の目標単語の意味を記入)を与えた。分析の結果、次の4点がわかった。 (1)直接的な意味指導に比べて、文脈による意味推測による気づきの方が、より多くの単語の保持につながる。 (2)気づきのみに比べて、インプット処理による気づきの強化の方が、より多くの単語の保持につながる。 (3)推測のみに比べて、推測後の意味指導の方が、直後はより多くの単語の保持につながる。しかし、1週間後には、両者の差はなくなる。 (4)文脈による意味推測、推測後の直接的な意味指導、そして、インプット処理という3つすべてを与える教育的介入(CAI)は、直後には一番多くの単語の保持につながる。しかし、1週間後には、直接的な意味指導のみ(A)以外の教育的介入との差はなくなる。
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