研究概要 |
音声習得理論やコミュニケーション理論に関する文献研究を完了した。過去の諸研究の主張と論点,その論拠を明らかにした結果,学習者の年齢,母語,学習環境により,全く異なる現象が報告されていることが分かった(論文2)。現在までに収集したデータや長期的実証研究を基に,日本人英語学習者の音声及びコミュニケーション能力獲得に関する理論を明確化した。ロンドン大学(UCL)音声分析研究所(Wolfson House)・言語学研究科において,日本人及び英語ネイティブ・スピーカーの音響牽的差異やコミュニケーション形態の諸相を実証的に検証し,普遍論と個別論の整合性を追究した。日本人英語学習者は,間接的含意表現の使用頻度は低いものの,日本語では適確にニュアンスを汲み取ることが可能だが,英語では困難であることが実証研究で明らかになった(論文1)。外国語処理では,思考処理と言語処理が一度に行われるため,処理負担が極めて高いためであると考えられる。現在,実験的研究により,日本人英語学習者の言語処理能力獲得を多角的に検討している。次年度は,言語処理理論を体系的に研究し,外国語処理メカニズムを明確化すると同時に,理論研究を基盤とした指導理論構築に向けた研究を開始する。
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