研究概要 |
平成18年度研究実施計画に記載した次の2項目について研究を進め,いずれも基本的には当初想定していた目的は達された. 1.専門家を加えた提案アルゴリズムの評価 スラッシュの箇所は,教材作成者自身でも揺れる場合がある.つまり,スラッシュには作成者の挿入基準に照らし合わせて明確かつ必然的なものと,有無や位置の観点で随意的なものが存在する.スラッシュの自動挿入の提案アルゴリズムは,そういった相違を考慮せず,スラッシュを全て必然的なものとして評価したとすると,スラッシュに関するPrecision・Recallは78.4%・66.9%となる.そこで提案アルゴリズムにより現実に則した評価を与えるために,英語教育担当者の協力を得,提案アルゴリズムでスラッシュを入れた教材でのスラッシュの過不足を,網羅的に指摘してもらった.その評価では,Precision・Recal1は87.3%・76.1%となった.教材の完全自動生成とまではいかないものの,教材作成者のチェックを前提とした半自動生成の精度としては十分であると考えられる. 2.教材生成システムの本格運用 提案アルゴリズムを実装した教材生成システムを構築し,Web上に一般公開した. http://www.cl.ritsumei.ac.jp/CALL/SR/ インターネットにアクセスできれば,誰でもいつでもどこからでもWebブラウザ経由で利用できる.また,現在,模倣できるスラッシュ・リーディング教材は5通りで,任意の英文書に対して一文書あたり数秒から数分程度でスラッシュを挿入することが可能である.動的に既存・自作のスラッシュ・リーディング教材を手本として,スラッシュを挿入する機能は,学習アルゴリズムが高負荷で時間を要す場合もあるため,一般公開とはせず,個別に対応している.この点が,研究立ち上げ時の計画で想定した事項のうち,唯一未達成のものである.
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