研究課題
多くの研究情報を効率的に調査・研究・活用するために、基盤整備に努めた。そのため、各種辞典類をはじめとする基本的な図書や記憶媒体などの購入を進めた。また、研究情報の収集のため、各地で現地調査を行った。具体的には、空海・最澄らをはじめとする高僧伝の主人公が実際に活動し、あるいは高僧伝の情報源となるような伝説が形成された地域に注目してフィールドワークを進めた。会津盆地では、最澄との教学論争で有名ながら、確実な文献資料に恵まれない徳一の事跡や遺跡についての実地見学や聞き取り調査を進めた。また、徳島・高知では弘法大師空海を中心とする霊場の形成に注目し、僧伝の形成について調査を進めた。松江・宇治等では、古記録研究者との協同研究会を通じて、古記録に現れる僧の活動について、どのような分析方法や調査・検索が可能かについて検討し、あわせて日吉大社などの主要な史跡の調査を行った。さらに、2004年8月にトロントで開かれた国際法華経学会に出席し、「法華験記の再評価」と題して研究発表を行った。ここでは、僧伝史料として従来から注目されていた法華験記を題材に、その歴史史料としての有効性について強調した。ついで、僧伝としての分析の実例として、法華験記のなかに現れる顕密という語に注目し、法華験記の背景や東寺の修行者の志向性について論じた。その際、ワシントン大学にも立ち寄り、僧伝関係資料の調査および研究者との情報交換を行った。最後に、データベース構築では、『元亨釈書』伝部のうち、浄禅および慧解の二章に焦点をしぼり、各僧伝の登場人物について試験的に入力を開始している。将来的には、他の説話類や僧伝等との相互的な検索により、個々の僧伝の比較研究ができるようなシステムの構築を目指している。
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The 6^<th> Annual Symposium on Japanese Studies, Seton Hall University 6
ページ: 1-13
仏教史学研究 47-2
ページ: 20-24