今年度の計画は、幕末維新期の戦争関係史資料を収集することである。その活動は、大きく分けて四つ行った。 ひとつは、長州藩と薩摩藩の史料調査である。長州藩については、広島・福岡の調査とあわせて行った。山口県文書館での調査、および県内で確認できる旧招魂社をすべて実地調査した。さらに、広島県立図書館、福岡県立図書館で基本的な文献調査を実施し、あわせて第二次長州征伐の関係史跡を調査した。薩摩藩については、今年度は目的を果たすことはできなかった(理由は下記の通り)。 次に今回の重要な情報収集活動として、九州・中国地方の自治体史や関係史料を、大学・県立図書館を通じて集めることを行った。ホームページ上で郷土史料情報を確認し、そのうえで検索・該当箇所等の確認を行い、資料番号・分類番号を検索して依頼を行うという順序で行った。近年の情報化の傾向を利用し、充実した自治体史の成果を吸収する目的ではじめたものであったが、実は大きな問題があった。それは、複写依頼の件数が多すぎて拒否されるケースが多いこと、また依頼する大学・各都道府県図書館それぞれでの申請形式が異なりきわめて煩雑で、申請書作成に多くの時間を費やす結果となり依頼が遅れたことなどがあげられる。薩摩藩の関係史料を収集できなかった理由はこうした問題に即座に対応できなかった点にある。来年度は資料収集を継続して行うため、こうした問題点を、各図書館との密な連絡・依頼件数の分散化などで対応するつもりである。 なお、自治体史等で明治維新期や近代の戦争関係を扱ったものについては、精力的に図書の収集を行った。その際ご寄贈いただいた図書も多く、予想以上に当該研究関係の図書購入が果たせたのは大きな成果であった。 鳥取県の史料調査は、幕末維新期が少なく困難を極めたが、鳥取県立博物館所蔵池田家文書や各市町村史などで収集した資料の確認作業を行った。しかし、新史料の発掘等は東京大学史料編纂所や戊辰戦争の戦場地域などの継続的な調査が必要である。 最後に、今回の研究においては対外戦争の史料を外国図書・映像資料にも広げたため、こうした作業に必要な備品等を購入し、その分析に着手した。
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