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2005 年度 実績報告書

中華民国南京政府(1928〜1937)の開発政策と地域社会

研究課題

研究課題/領域番号 16720161
研究機関東京大学

研究代表者

吉澤 誠一郎  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (80272615)

キーワード南京政府 / 国民党 / 西北建設 / 廟会
研究概要

1927年に成立した南京国民政府にとって、経済建設にどれほどの成功を収めることができるのかは、政権の正当性に関わる重要事であった。本研究では、全国のなかでも「遅れた」地域とされた西北の内陸地区を対象とする経済建設(西北建設)に注目し、その経緯を明らかにした。
当時、西北建設については膨大な数の開発計画が登場した。これらは、真摯な国民統合論・国防建設論であったにせよ、ほとんどは机上の空論の域をでるものではなかった。なぜなら、提案される事業に必要な膨大な資金をどのように調達するかという点についての現実的な考慮を欠いていたからである。
実際の政策の始動にあたっては、アメリカ合衆国からの借款を得た全国経済委員会が果たした役割、特に宋子文の緻密な運営が決定的に重要であった。また、現地の行政担当者である陜西省主席邵力子はこれに協力しつつ、開発計画と生態環境の関係を模索していたのである。
また、もうひとつの課題として、天津の祭礼を事例として、民間信仰に対する国民党の態度と経済政策の関係を考察した。天津における「皇会」という祭りは、古い由緒をもち、伝統芸能を発達させていたが、民国に入ると、これは「迷信」として批判されたため、中断した。1936年には、市政府の許可を得て再開されたが、その理由は、祭りは人々の消費行動を刺激し、経済に有益であるからというものであった。ここには、国民党の経済重規のイデオロギーと人々の地域的な伝統を守ろうとする意識とが、微妙な形で共存していたのである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 近代天津における廟会の変遷2005

    • 著者名/発表者名
      吉澤 誠一郎
    • 雑誌名

      アジア遊学 78号

      ページ: 172-188

  • [雑誌論文] 西北建設政策の始動-南京国民政府における開発の問題2005

    • 著者名/発表者名
      吉澤 誠一郎
    • 雑誌名

      東洋文化研究所紀要 148冊

      ページ: 19-74

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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