平成17年度における研究活動・成果はおおむね以下の通りである。 研究成果の公表としては、1点を挙げるのみである。昨年度より執筆・推敲を重ねてきた論考「明代の漕糧と餘米」が、『東洋史研究』第64巻第3号、pp.67-103に掲載された。 現在は、明代中国の河北地域における主穀生産・産業立地・流通のあり方に関する、論考を準備中である。これに加えて、清代漕運と財政政策の問題に関連する数値資料も、併せて鋭意収集中である。なお、これらの研究領域に関しては、特に欧米におけるLillian M. LiやThomas Rawski、Bin Wongらによる数量経済史的な研究成果との突き合わせが必要不可欠である。そこで本年度の冬期を利用し、統計処理ソフトの講習会にも参加、回帰分析・T検定など基本的な統計処理技術を習得した。これらのスキルを如何に資料操作に活用するかは、今後の課題である。以上の作業を通じて、伝統「中国における「第一統」が如何なる意味において担保されていたかを、物的システムの面からアプローチすることが可能となる。 なお、本年度における学会参加等の諸活動については、おおむね以下に掲げる通りである。 1.4月末には、社会経済史学会大会(於一橋大学)に参加、清末漕運に関する研究発表を聴講した。 2.8月には、明清史夏合宿(兵庫県尼崎市)に参加。 その他、大阪大学にて科研費関係の研究会にも複数回参加している。
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