研究実施計画書に基づき、以下のように研究を遂行し、今後の展望を得た。 [文献研究]漢代の制度について記した正史類以外の文献史料(漢代の典籍や後代の類書)の印綬制度に関係する記載の整理を行った。 [考古史料研究]『考古』『文物』『考古与文物』誌をはじめ、学術誌に掲載された発掘記録を精査し、車服制度にかかわる遺物のデータベース化を行った。近隣の大学に所蔵されていない雑誌については、8月・11月・12月・2月に東京に出張し、日程内に可能な範囲内で調査を行った。 [実地調査]3月に中華人民共和国河南省洛陽市を訪れ、洛陽古墓博物館などで関連遺物の閲覧・調査を行った。また2月に福岡アジア美術館で開催された「よみがえる中国歴代王朝展」にて、青銅製車軸頭・馬面(河北省定州市三盤山中山王家族墓120号墓出土、河北省文物研究所所蔵)ならびに銅車馬俑群(甘粛省武威市雷台漢墓出土、甘粛省博物館所蔵)を閲覧した。 [成果の公表]本年度中に雑誌等に掲載された成果はない。車服制度に関するもの、『後漢書』輿服志の内容に関するもの、の2篇について投稿準備を継続中である。 [今後の課題]研究は概ね計画どおりに進行しているが、昨年度の実績報告書においてその必要を指摘した漢代車服制度に関する和文文献のリスト作成については、申請時に掲げた計画に含まれていなかったこともあり、対応が遅れている。また、諸般の事情から研究論文の公表を年度内に実現できなかったので、次年度はこの達成に意を注ぎたい。
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