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2005 年度 実績報告書

朝鮮中世における朱子学の伝来・普及と対モンゴル(元朝)関係

研究課題

研究課題/領域番号 16720167
研究機関九州大学

研究代表者

森平 雅彦  九州大学, 大学院人文科学研究院, 講師 (50345245)

キーワード高麗 / 元 / 朱子学 / 晦軒実記 / 安〓 / 大学或問
研究概要

本研究は、高麗時代の朝鮮半島に元朝治下の中国より朱子学が伝来・普及した背景について対元関係を中心に解明するものだが、本年度はまず昨年度に続き、朝鮮朱子学の先駆者とされる安〓の事跡について追加調査を行った。その結果、安〓研究の基本資料とされる『晦軒先生実記』について昨年度判明しなかった刊本2種を新たに確認し、計10種の刊本に対する書誌学的・歴史学的調査結果を再整理して、18世紀後半〜20世紀初における本書の刊行史を復元した(『年報朝鮮学』9所載論文)。そのうえで、同書に叙べられた安〓による1290年の朱子学書将来という所伝に史料批判を加え、これが朝鮮中期以降の文献に基づく不確かな伝聞情報である疑いが濃いこと。安〓の朱子学学習契機としては、それ以前の1279年より質子として元都に長期滞在した経験が注目されることを解明した(『史淵』143所載論文)。
また韓国ソウル大学校奎章閣所蔵の『大学或問』を調査し、元末1342年に中国福建で刊行された『四書輯釈』の一篇の複製本であることを確認した。高麗では1371年に『四書輯釈』中の『中庸或問』が複製されたので、上記の『大学或問』もまたこれと1組の出版物だった可能性が高く、高麗人の朱子学受容過程を示す貴重な新一次資料となる。また上記の『中庸或問』についても、韓国現存の実物(寶物指定)を調査し、匡郭の違いから本書が覆彫以外の方法で複製されたことを確認して、朱子学がモノ(書籍)を通じて高麗に流入する具体的過程の一端を解明した。
さらに安〓以外の高麗知識人の朱子学学習に関する調査を進め、質子の派遣や元の科挙への応試が重要な契機となった様相を分析したが、これらを含む現段階における全体の成果と展望を、中国社会文化学会の大会シンポジウム(7月10日於東京大学)と韓国全北大学校主催の国際シンポジウム(12月3日於全北大学校)において口頭発表した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 『晦軒実記』刊行始末初探2006

    • 著者名/発表者名
      森平雅彦
    • 雑誌名

      年報朝鮮学 9号

      ページ: 1-73

  • [雑誌論文] 朱子学の高麗伝来と対元関係(その一)-安〓朱子学書将来説の再検討-2006

    • 著者名/発表者名
      森平雅彦
    • 雑誌名

      史淵 143輯

      ページ: 65-103

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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