平成17年度は、年度計画で掲げた刀剣副葬墳墓に関する資料集成と資料調査について、以下のように実施した。 1.資料集成 平成16年度に引き続き、西日本における刀剣副葬墳墓に関する集成を実施した。資料集成にあたっては当初計画どおり、限定した地域内における資料の集成と、特定の刀剣資料に関する全国的な集成の、二通りの方法を採用した。まず、地域を限定した資料集成として、本年度は中国地方を主体とする地域の集成を実施した。その結果、刀剣副葬に関する長期的な変化について知見を得ることができたとともに、複数地域の刀剣副葬に関する比較研究のための基礎的データを蓄積することができた。一方、特定資料に関する全国的集成については、弥生時代から古墳時代前期における刀剣副葬の地域色について重点的に検討するために、当該期の資料に関する全国的な集成に着手した。それによって、刀剣副葬に関する地域的な諸系譜に関する知見が得られた。 このように集成した結果を、パーソナルコンピューターにおいてデータベース化して管理し、定量的分析を行うための作業を、昨年度に引き続き実施した。 2.資料調査 良好な状態で出土した刀剣資料に関して、実物を観察し、記録を行う作業を実施した。今年度は、近畿地域と九州地域において、弥生時代後期及び古墳時代後期に属する刀剣資料の実見を行った。実見においては、資料にのこされた副葬方法を示す痕跡について詳細な検討を行い、そうした痕跡についてデジタルカメラによる撮影等によって記録化を行った。
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