平成18年度は、年度当初に立てた計画に沿い、(1)刀剣副葬墳墓・古墳に関する発掘調査報告書をもとにした資料集成、(2)資料調査、(3)これまでの資料集成・資料調査に基づく考察を行った。とくに、平成18年度は本課題に関する研究の最終年度にあたるため、各種の継続作業を遂行するとともに、これまでの研究成果を総括することを目標とした。 資料集成については、まず特定地域を対象とした集成として、北部九州及び韓半島を中心とする集成作業を進めた。また、特定テーマに基づく集成として、昨年度に引き続き、弥生時代後期から古墳時代前期の資料、及び古墳時代後期の装飾付大刀に関する集成を実施した。 資料調査に関しては、良好な状態で刀剣が副葬されていた関東・甲信越地方の資料について実施した。資料調査においては、刀剣の観察とあわせて、現地における墳墓・古墳の踏査を行い、遺物と遺構の両面から総合的に資料に関する歴史的評価を行うよう努めた。 考察については、上記の作業と並行しつつ、これまで蓄積してきたデータに関する分析を行った。その結果、集成対象とした地域における、刀剣の副葬方法からみた地域間の関係に関する整理が可能となった。また、弥生時代後期から古墳時代前期の刀剣については、副葬方法の地域色に関して、当該期の時代性のなかで再評価することが可能となった。古墳時代後期の装飾付大刀の副葬方法に関する分析では、韓半島と日本列島との比較研究を実施し、両者の差異と共通性に関する分析を進めた。なお、研究成果の一部については、平成18年7月に刊行された拙著(『身体表現の考古学』青木書店)において反映させた。
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