研究概要 |
本年度は,麗江旧市街地の空間的構造を調査した。従来居住機能と生活最寄品売買機能しか有しなかった旧市街地が、観光化に伴って商業と娯楽、宿泊などの機能が発達し、地元住民の生活様式と社会構造にも大きく影響を与えた。旧市街地の店舗・民宿の開発、そして地元住民居住地の変化に焦点を絞り、その空間構造を考察し、既存の地域社会と流入人口,観光客の三者が観光化に関わるメカニズムの解明を試みた。 現地では,2回の調査を行い,1300余軒の店舗と一部の住宅を対象として、所有形態、面積、経営内容、従業員数、従業員属性に関して詳細なアンケート調査を実施した。また,一部の民宿を対象として,設立経緯・経営状況などについて聞き取り調査を行った。アンケート調査と聞き取り調査は支障なく終了し,予想されたデータと資料を得ることができた。しかし,現地の地図については,500分の1の実測図があるものの,海外調査チームには公開しないという規定があり,結局入手できなかった。代案として,GPSを購入し,古城内の建物の位置を一軒ずつ測量した。今後,測量データに基づき,GISのデータベースを構築する予定である。 麗江旧市街地の空間構造において,観光開発により,従来の居住機能から現在の商業機能まで大きな変容が現れた。主な特徴として,旧市街地入り口の新華街と新義街および中心部に集中する傾向が顕著であることが分かった。 上記の研究成果は,すでに「立教大学観光学部紀要」に公表し,さらに2005年5月に開催される「人の移動と文化変容センター」国際シンポジウムおよび2005年8月の「IGU Conference : Monitoring Cities of Tomorrow」(立教大学にて)で発表する予定である。
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