研究概要 |
本年度は,昨年度に現地でGPSを利用して測量したデータに基づいて、麗江古城のGISベース・マップを作成し、さらに、アンケート調査の結果とリンクして、GISのデータベースを完成した。GPSを活用した調査法は、今後の途上国での調査に新たな示唆を示す。 麗江古城において、経営内容によって、分布パターンも異なる。アクセサリ・銀細工の分布が特定の区域に集中する傾向が分かる。服飾、飲食、茶・薬草、宿泊は尖度もやや集中していると言えよう。逆に、工芸品と旅行関連・その他の店舗は、古城の中で均等的に分布している。 近年、観光産業の発展とともに、外部の資本が麗江へ流入してきた。1070軒の店舗において、経営者が麗江出身であるのが451件で、全体の半数以下の42.1%を占め、外部からの経営者の参入が著しいと言えよう。 観光開発と発展の結果として、麗江古城の住民には大きな経済利益を与えたことが注目すべきである。住民の可処分収入の増加とともに、住民がアメニティと利便性を求めて、古城外で開発された新しい住宅を購入し、古城外へ移住する生活パターンが多く現れた。市の政府は、住民の古城での継続な居住を促進するため、古城の住宅の売買は厳しく制限されている。 観光開発の進行は,地域と住民の生活を大きく変えていく。まず,その影響を受けたのは,古城のなかの住民である。観光客を受け入れるため,従来の住宅は,土産店と飲食店,民宿として利用された。元住民が外部への移住は,古城の誇りと魅力と言われた庶民の生活雰囲気と人情を薄めたのみならず,古城の商業化を拍車したとも言えよう。
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