本研究は、フランスにおける私学助成法制の歴史的な展開過程を明らかにし、その現代的特質を分析することで、私学助成改革論議の意義とその行方を見定めることを目的とするものである。 研究初年度たる今年度は、まず、日本国内およびフランス共和国における各種資料の収集にかかる具体的な予定をたてることから始めた。 その後、収集すべき関係文献・資料の目録を作成し、これにしたがって、フランスの私学助成法制の歴史的変遷や、分権化改革等に伴うその現代的変容の概要を分析するための基本的な文献資料の収集に努めた。 また特に、近時、公立学校でのスカーフ着用の禁止が法制化された問題をめぐり、政教分離(ライシテ)との関係におけるフランス公教育法制の制度枠組みと、憲法・行政裁判例の蓄積のなかで合意が形成されてきた制度運用にも、大きな変容が見られたことから、その点にかかわる仏語文献の収集と分析にも力を注いだ。 さらに、フランス共和国に赴き、近時の情勢にかかる情報収集に努めるとともに、パリ市の国立図書館等において、国内で入手困難な資料等の収集に当たった。 今年度収集した文献資料については、目下、その読解・分析作業を継続中である。研究完成年度たる来年度に向けて、さらに充実した研究を遂行できるよう、準備に努めたい。
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