平成16年度においては、以下の点について、明らかにした。すなわち、ドイツにおける個人情報保護は、基本法1条1項および同法2条1項から導き出された一般的人格権のひとつである、「情報に関する自己決定権」(das informationelle selbstbestimmungsrecht)に基礎づけられている。同権利の概念が定立されたのは、個人情報のコントロールを本人の自己決定に委ねることが情報化社会における個人の自由を保障するための前提条件であるという認識に基づいている。そして、研究テーマである労働者の個人情報保護に関しては、同権利が労使間において個人情報をめぐって生じる訴訟の際の解釈規範ともなっていることが明らかになった。 現時点までに明らかにされた成果は、平成17年3月に行われた民主主義科学者協会法律部会主催の研究会(労働法部会)において報告された。また、平成17年5月には、日本労働法学会109回大会において、テーマ「ドイツにおける労働者の個人情報保護」の下、これまでの研究の内容を報告する予定である。
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