研究概要 |
今年度は,まず調整型手続におけるルール化・規格化や,判断型手続との連続性の側面に関して,次のような研究を行った。すなわち,(1)調整型手続におけるルール化の一つの表れが日本においては裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(ADR法)における認証要件であるが,そのうち,とりわけ法的情報・評価の取り入れ方については議論のあるところ,法規範の相対化とそのための手続化について理論的な考察を加えた;(2)同様に,専門的知見についても,調整型手続における相対化の必要性等について考察した;(3)調整型手続において顕れた情報・主張・証拠方法について,同一紛争が訴訟手続に持ち込まれた場合に証拠能力を制限するべきか否かについて検討を加えた。次に,判断型手続については,次のような問題について研究した。(4)判断型手続においても,裁判所の裁量権が広く認められる職権探知主義の手続は別異の手続的配慮が必要であり,手続主宰者と当事者との関係性の規律の一場面であるため,この点につき,本研究の一環としても検討を加えた;(5)仲裁手続における和解勧試,調停手続に連続した仲裁手続の問題性について,研究した。
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