昨年度(平成16年度)からの継続として本年度は、まず引き続き日仏の現状調査に従事した。さらに独立した公表業績に至るレヴェルにまで達した成果について、紀要等の媒体により適宜公表することにつとめた。 本年度は最初に、第110会九州法学会学術大会(平成17年7月2日。於・福岡大学)での分科会報告を行っている。報告タイトルは、「フランスにおける放送と通信の融合-2004年法にみる制度設計-」である。当該報告は、昨年度(2005年3月)のフランスにおける「放送」と「通信」に関する2つの行政機関((1)視聴覚通信に関する最高機関:CSA、(2)電気通信規制機関:ART)への出張調査で得た、「融合」状況にかかる成果をおおやけにするものである。さらにこの報告の成果は、報告タイトルと同じ論題で、論文形式で『九州法学会会報2005年』(九州法学会・2006年度中に公表予定。校了・発行待ち)に所収される。また加えて、当該報告を精緻化し日本法への示唆をも明確にした成果である、「放送・通信融合下での法制度設計の枠組み-フランス法を素材として-」名古屋市立大学大学院人間文化研究科『人間文化研究』第4号(2006年1月)所収を公表した。当該論文では日仏比較法研究の観点をふまえ、昨年度来の課題であった理論面での問題意識の解消にもつとめた。 さらに本年度は、フランスにおける「通信」行政の新展開がみられた。すなわち、前述の「通信」領域における行政機関である「電気通信規制機関:ART」が2006年に入って「電子通信および郵便に関する規制機関:ARCEP」へと組織改変された。そのため、「融合」を視野に入れつつ「放送」との異同を明らかにすることを念頭において、前身であるARTとの異同、「通信」領域での独立行政機関による市場介入手法、さらにはその制裁権限の発動をめぐる最新状況を解明するため、年度中2006年2月から3月にかけて当該機関に調査出張した。当該調査で得られた成果は、2006年(平成18)度中に紀要等の媒体をもって公表する。
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