本研究は3年間にわたるプロジェクトであるが、研究1年目の平成16年度は、アメリカの郊外都市におけるシティ・マネージャー制と市議会の実態を調査した。カリフォルニア州バークレー市、パロアルト市、レッドウッド市、サンフランシスコ市において自治体職員、シティ・マネージャー、市議会議員、市民団体役員インタビューを行ない、地方財政再建を初めとする行政ニーズや行政対応の実態と現状調査を行なった。その結果、従来の研究では、シティ・マネージャー制は伝統的の公選市長制の都市と違って行政主導型の政策決定が行なわれているものと考えられてきたが、カリフォルニア州のシティ・マネージャー制の諸都市においては、むしろ市議会主導型の政策決定が行なわれていることが明らかになり、それが行財政再建にもたらすメリット・デメリットを詳細に検討することが出来た。またワシントンDCにある国際シティ・マネージャー協会による最新の全米都市自治体調査データを入手し、全米レベルでの地方財政指標とシティ・マネージャー制導入の相関関係を計量的分析により明らかにした。研究成果の一部は、2004年6月12〜13日の日本公共政策学会研究大会で報告した他、2005年3月17日の北海道大学大学院法学研究科・学術創成研究「グローバリゼーション時代におけるガバナンスの変容に関する比較研究」ローカル・ガバナンス比較研究会で報告する予定である。また『近代』第94号で「グローバル化時代のアーバン・ガバナンス-アメリカ都市を事例として-」として研究論文を公表した。
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