労働市場の流動化、女性の社会進出、少子高齢化等の環境変化が、どのような政策対応をもたらしたのか、その際、政党政治はどのような影響を与えたのかという点を中心に研究を進めた。具体的には、男性正社員の長期雇用と女性(主婦)のパート雇用を前提として構築されてきた日本の社会的セーフティネットが抱える問題点と利害対立を明らかにした上で、各政党がどのような政策を支持するに至ったのかを調査・整理することが研究課題である。 平成18年度は最終年度のため、論文の執筆が主たる研究活動であった。ただし、執筆過程において国際比較の視点を補強するため、フランス・パリ政治学院にて資料収集を行った。したがって研究経費としては、図書などの設備備品費・消耗品費、資料収集のための海外旅費、研究補助のための謝金が主な支出となった。 研究成果としては次の論文を執筆・報告した。第一に、小泉政権期に焦点を当てた上で、労働政治にはいかなる変容があったのかに関する論文「小泉改革と労働政治の変容:生産性の政治から消費の政治へ?」を日本行政学会(平成18年5月13日)にて報告した。第二に、この学会論文を元に加筆・修正をし、「小泉政権と労働敬治の変容:「多数派支配型」の政策過程の出現」を完成させた(『年報行政研究』(平成19年5月刊行予定)に掲載)。第三に、政党競争がどのように労働政策に影響を与えたかに関する英語論文("The Impact of Two-Party Competition on Neo-liberal Reform and Labor Unions")を脱稿した。
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