まず第一に、アジア論、戦後日本のアジア外交に関する研究論著の収集・整理に努め、その中の一部について検討を加え研究ノートを作成した。 第二に、公開された外交資料の調査・収集を行った。2004年8月27日から9月12日にかけて、中国外交部が公開した1949〜1955年の外交資料を調査し収集した。同年1月19日同外交部が初めて外交文書を公開したことを受けて、主に以下の3点を中心に資料収集を行った。(1)対日講和の成立過程における中国共産党政府の対応、(2)対日賠償問題をめぐる共産党政府の対応、(3)アジア・アフリカ会議をめぐる共産党政府の対応。その一方、日本において、日中国交正常化交渉当時の竹入義勝・周恩来会談、田中角栄・周恩来会談記録、大平外務大臣・姫鵬飛外交部長会談(要録)などを中心に外交資料の調査・収集を行った。 第三に、アジア政経学会など各種研究会に参加し最新の研究成果を吸収し、さらに、自らが代表を務めている中国社会科学研究会の企画で、国際文化会館や早稲田大学COE「現代アジア学の創生」と協同して国際シンポジウム「東アジア地域協力のなかの中国と日本」を開催し、「東アジア・コミュニティ」の構築と日中関係に関する最近の研究成果を中心に議論を行った。また、2005年1月30日に「戦後より1972年に至るまでの日華外交史研究フォーラム」(北海道大学主催)に参加し、「戦後日中関係の『原点』から戦後日中関係の『争点』へ」という題の研究成果報告を、2月23日に笹川平和財団主催の「日中若手歴史研究者会議」に参加し、「戦後補償問題と歴史認識」という題の研究経過報告を行った。これらの研究成果は、最終的に、2005年3月にCOEに提出される報告書及び2005年夏東京大学出版会から出版される『日中関係史の争点』(仮題)に掲載される。
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