本年度は、新規造成地がもつネットワーク外部性という性質に着目し、より一般的にネットワーク外部性がある財の販売方法について理論的研究と実験による実証的研究の両方を行った。 具体的には、ネットワーク外部性がある財の販売方法について、割引率がある展開形のゲームを用いて分析を行い。販売直後の1期間の損失を補填する制度を用いれば、効率的な状態が唯一の部分ゲーム完全均衡であることを理論的に示した。さらに、任意の部分ゲームにおいて、効率的状態を唯一の部分ゲーム完全均衡とするための必要条件も求めた。また、予約券販売を行い、予約券の販売した売上を用いて、損失補てんの経費にあてる方式をとることで、財政的均衡を満たしながら、上記の制度を実施することができることを示した。 上記の理論研究に加え、ネットワーク外部性がある財の販売方法に関する不完備情報ゲームについて単純化したモデルを作成し、予約券販売方式によって、パレート効率的な状態のみが逐次均衡となることを理論的に示した。このモデルについて、大阪大学で実験を行った。実験の結果、理論どおりに、特殊な予約券販売方式が有効であることが分かった。 本年度の研究成果については、7月に国際会議(Far Eastern Meeting of Economic society)において本研究課題に関する研究報告を行った。さらに、3月に数理社会学会において本研究課題に関する研究報告を行った。また、来年度はじめに、日本経済学会での研究報告も予定している。
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