本年度は企業間の生産規模に制限がある価格競争(price competition with capacity constraints)を理論的に分析した論文"Collusive Price Leadership with Capacity Constraints"の完成を目指して研究を進めた。本論文は、国際的に評価の高い専門学術雑誌"International Journal of Industrial Organization(IJIO)"から数度の修正要求を既に受けており、現在はその修正を盛り込んでいる段階にある。IJIOのeditorやrefereeから受けた多くの有益なコメントによって、研究開始時点よりもかなり説明力のある論文に発展した。 また、(価格競争に限らない)より広範な市場構造を想定して、より一般的な理論モデルを構築して、同様の結果を得るための研究も順調に進んでいる。現在、中心とすべき先行研究の特定も終わり、具体的なモデルの構築と示すべき命題の証明方法について検討を行っている。(順調に進めば、2006年度中には論文の第一稿が完成する予定である。)この研究が成功すれば、ケーススタディや実証研究の際に、理論モデルで置かれている仮定との整合性を細かく吟味する必要が無くなる。つまり、より広範な経済現象に対して本研究の有効性を検討する事が可能となる。従って、申請した研究期間の終了後も継続して研究を進めていく予定である。
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