研究概要 |
本研究は2つのテーマ(1)特許政策・知的財産権保護政策の動学マクロ経済分析、(2)参入規制・補助政策の動学マクロ経済分析から成る。 まず(1)に関しては、イノベーションだけでなく資本蓄積も成長のエンジンとなる一般的な経済成長モデルで、特許権強化が経済成長・経済厚生にどのような影響があるか、分析を行った。そして特許強化はイノベーションは促進するが、資本蓄積を阻害し、経済成長率を低下させる可能性があることを示した。この研究内容は論文"Patent Enforcement, Capital Accumulation, and Economic Growth"(二神孝一大阪大学大学院経済学研究科教授と共著)としてまとめた。そして、2004年度日本経済学会春季大会(於明治学院大学)・大阪大学・慶應義塾大学経済学会コンファレンスなどで研究報告を行った。また、創造的破壊を伴う内生的イノベーションのモデルでも、知的財産権強化政策が経済成長にどのような影響があるか、分析を行った。ここでも知的財産権保護の強化はイノベーション・経済成長を阻害する可能性があるという結論を得た。この研究成果は論文"Intellectual Property Rights and Economic Growth"(堀井亮大阪大学大学院経済学研究科講師と共著)としてまとめた。この研究成果は、2004年日本経済学会秋季大会(於岡山大学)、関西マクロ経済学研究会(於大阪大学)、立命館大学などで報告を行った。 次に(2)の研究テーマに関しては、動学的一般均衡分析のフレームワークで参入規制・促進政策が経済厚生にどのような影響を与えるか、分析を行い、静学的部分均衡分析と異なり過剰参入だけでなく過少も起こり得ることを示した。この研究成果は論文"Welfare Analysis of Free Entry in a Neoclassical Growth Model"(二神孝一大阪大学経済学研究科教授・岡村誠広島大学経済学部教授と共著)にまとめた。そして2004年7月に海外学術雑誌に投稿した。
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