研究概要 |
本年度の研究は「研究目的・研究実施計画」における研究目的(1)、(2)を中心に行った。具体的には、すでに公表済みの論文および学会報告(樋田勉(2003),「有限母集団における累積分布関数推定」,『群馬大学社会情報学部研究論集』,10,187-204.樋田勉(2003),「有限母集団における累積分布関数推定について」,『第71回日本統計学会報告論集』,493-494.)において、有限母集団を対象とする累積分布関数の推定法と、ジャックナイフ法による分散推定を、実際の官庁統計の個票データに適用する共同研究を、厚生労働省の石井太氏、關雅夫氏、早稲田大学政治経済学部の西郷浩教授とともに行った。本共同研究は、厚生労働省の「国民生活基礎調査」の個票データから、所得分布をより制度よく推定するための研究である。この調査は複雑な標本設計のひとつである二相抽出法を用いる調査であり、研究目的(1)で述べた、複雑な標本設計における分布関数の推定にあたる。この共同研究の成果の一部については2004年度の日本統計学会において報告を行った(石井・關・西郷・樋田(2004),「二相抽出法を利用した国民生活基礎調査所得分布推定の検討」,『2004年度統計関連学会連合大会講演報告集』,53-54.)。(2)については前述の論文および学会報告から、さらにシミュレーション実験などを行い、累積分布関数推定量のジャックナイフ分散推定量の性質について、詳細な検討を行っている。また、官庁統計の個票データを利用し、リサンプリングを用いて精度評価をする共同研究の成果について学会報告(西郷・舟岡・樋田(2004),「平成9年全国物価統計調査へのリサンプリング法の応用」,『2004年度統計関連学会連合大会講演報告集』,49-50.樋田・舟岡・西郷(2004),「平成9年全国物価統計調査の価格分布について」,『2004年度統計関連学会連合大会講演報告集』,51-52.)を行った。
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