本研究は、市町村レベルにおける地域産業連関表の推計に関わる諸問題を解決するため、Non-survey法やSurvey法の有効性を総合的に検討することによって、市町村レベルにおける地域産業連関表の作成方法の確立、またはその実用化を目的とするものである。 今年度は、都道府県及び政令指定都市で採用されている現状の地域産業連関表の作成方法(Survey法)を整理し、推計にかかる問題点の整理を行った。その結果、大きく分けて3つの問題が明らかとなった。1つめは、地域間交易データの問題(移輸出入推計の問題)。2つめは、地域内最終需要項目にかかる推計問題。3つめが、投入構造の安定性に関する問題である。 こうした問題への対応策について、市町村レベルの地域産業連関表を作成している旭川市、釧路市、舞鶴市への担当課へヒアリング調査を行った。また、産業連関表に準じた地域循環構造の把握を行っている自治体(岡山県赤磐郡赤坂町、長野県飯田・下伊那自立化会議)へのヒアリング調査を行い、産業連関表の考え方を応用した新たな地域循環構造の把握手法に関して可能性を検討した。 また、既存統計からは利用不可能な市町村レベルの移輸出入データを得るため、別途、京都府舞鶴市を対象として移輸出入構造に関する実態調査を行い、市町村レベルにおける移輸出入構造をNon-Survey法で推計、検証するためのデータの蓄積を進めている。これらの調査にあたっては舞鶴市企画調整課および総務課と協力体制で行った。
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