本研究の目的は、a)地域別のマクロ労働統計を収集・整備し、b)特に雇用情勢の年齢差に着目しながら各地域の雇用情勢悪化の要因を検証することにある。分析終了後には、希望者が利用できるよう、収集したマクロ労働統計を公開する。平成17年度は3年計画の2年目であり、平成16年度に続き労働統計を収集し、一部の分析を開始した。 本研究で収集予定の統計は主に2種ある。1つは総務省統計局所蔵の『労働力調査』非掲載表であり、もう1つは各地方労働局所蔵の年齢別の求人数、求職者数、就職件数に関する数字である。これらの数字を収集することで、地域別・年齢別の労働市場の経年変化を分析することを目標としている。 平成17年度はこれらの地域別労働統計に加えて、『全国消費実態調査』や『家計調査』などの消費に関する統計に関しても地域別に収集し、入力した。雇用情勢は平成17年度にかなり改善したが、改善の程度には地域差や年齢差があり、国会やマスコミなどで所得格差や消費格差の拡大に関する議論が急速に高まった。 この議論の背景には雇用情勢と生活水準との間の密接な関係がある。本研究の元々の目的は年齢や地域などの違いが雇用情勢に与える影響の大きさを検証することにあるが、これに加えて、消費などの統計を地域別に収集することで、雇用情勢の変化がもたらす生活水準の変動について地域別に検証することも考えている。 平成17年度のその他の作業および研究内容としては、a)『労働力調査』非掲載表の入力の継続、b)地域別職安統計の入力、c)分析結果の一部公表などが挙げられる。収集を予定していた関東地方の地方労働局所蔵の労働統計については、一部の地域で統計が遡及して収集できないことがわかったため、ごく一部の地域についてのみ収集する方向に切り替えつつある。 平成18年度は収集したデータの入力作業を完了させ、分析を実施する予定である。
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