研究概要 |
今年度は、ホームレス自立支援法成立から5年となる中間評価年であり、来年度にはホームレス自立支援法の改正が予定されている。そのために、今年度の研究の中心は、これまでのホームレス施策、特に、自立支援事業の評価に重きを置いた研究を行なった。自立支援事業は確かに成果を挙げたことは間違いないが、自立支援事業の対象にならないホームレスも多い。そのような支援を選択しないホームレスの行動原理を計量的に分析し、自立支援事業以外の支援策の必要性について論じた(業績(1))。また、そのようなホームレスの就労と健康面に特に着目した行動原理の分析を行い、医療アクセスの改善と、就労支援のあり方についても提言を行なった(業績(2))。 また、今年度はホームレス施策とも密接に関わっている生活保護制度の改正についても、変革が多い年であった。そのため、現在、着目されている医療扶助の適正化施策についての考察と提言を行なったり(業績(3))、年金と生活保護の関係について分析し、年金未納・未加入対策の重要性を提言したりした(業績(4))。 (1)「ホームレスの側からみた自立支援事業の課題」,共著(阪東美智子との共著、鈴木は第1著者),2006年12月,『季刊・住宅土地経済』((財)日本住宅総合センター)No.63,pp.15-23 (2)「ホームレスの労働と健康、自立支援の課題」,単著,『日本労働研究雑誌』((独)労働政策研究・研修機構)2007年6月号近刊 (3)「医療扶助の適正化と改革のあり方に関する一試論」,単著,2006年12月,『季刊shelter-less』(新宿ホームレス支援機構)No.30,pp.125-137 (4)Welfare Use in Japan : Trends and Determinants,共著(Y.Zhouとの共著、鈴木は第1著者),Journal of Income Distribution(forthcoming)
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