3ヵ年の科学研究費予算プロジェクト(若手研究B)の2年目において目的としたことは、本来のテーマである「地域社会資本がもたらす経済効果の測定」の観察対象を本土のみならず離島地域にまで拡大することにあった。 地域社会資本とは、国家レベルで整備する国家公共財とは異なり、自治体等の地方政府によって供給される地域公共財をここでは指している。そして経済効果として何をもって測るかという意味で、本研究では一貫して生産性と効率性という観点に基づいて測定している。 一昨年度までの研究においては、国全般のマクロ社会資本が創出する生産性効果を複数の部門に分類した上で推計を行ってきた。とりわけ交通関連社会資本整備に関しては道路・空港・港湾という事業ごとに細分化して分析を行ってきた。さらに、全国を9つのブロックに分割し、それぞれの地域生産性効果の測定も行った。そこでは東京や大阪等の大都市整備が遠隔地域にもたらす遠隔効果、中規模都市が周辺地域に及ぼす中距離効果、そして当該地域開発がインナーエリアに対してもたらす地域効果の3つのスピルオーバーを測定している。これに対して昨年度は観察対象エリアを鹿児島・沖縄の離島地域に拡大して分析を行っている。
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