自動車リサイクル法の施行に伴って、ELV処理・リサイクル関連業界は大きな業界再編の過程にある。2005年度の研究では、ELV処理・リサイクルをより広義にとらえ、中古車輸出に関する調査研究も進めた。特に統計データの整理や、国内外での関連業者の聞き取りを精力的に進めた。この研究が可能となった背景には、2005年7月より、自動車の携帯輸出が禁止されたため、輸出台数の正確な把握が可能になったことが挙げられる。それによれば、年間輸出台数は120-130万台になることが明らかにされている。一方、全国の中古車輸出業者からの聞き取り調査から業界独自の課題が部分的にではあるが、明らかとなった。カントリーリスクや為替リスク、通常の商業リスクを含めたリスク管理をどのように行っていくのか、ということが極めて重要である。大規模業者だけでなく零細業者についても、規模にみあったリスク管理をふまえた経営手法をとっていく必要がある。この間の調査で、我々は自動車リサイクル法は使用済み自動車の輸出を促進しているのではないかと推測している。従来国内で廃車となっていた自動車がリサイクル料金の負担を逃れるために、中古車オークションに出品されるという法の趣旨とは異なる事態が発生している。国内での適正処理・リサイクルはもちろんのことだが、徐々に明らかにされつつある自動車の国際リユース・リサイクルの現実(2004年度、2005年度のロシア極東地域への調査でその一部を明らかにしている)をふまえた制度設計が求められている。
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