本研究課題は、二ヵ年の計画・内容であり、平成16年度は、研究計画にあるように、 1)労働市場における就業行動を解明するため、労働統計データを可能な限り男女別で収集し、整理を行なった。厚生労働省『賃金構造基本統計調査』や『毎月勤労統計調査』を利用して、男女別、学歴別、年齢階級別等の賃金構造に関するデータベースの構築を行った。また、総務省『労働力調査』や『就業構造基本調査』を利用して、男女別、年齢階級別等の就業構造に関する時系列のデータベースを構築した。統計資料による基礎的把握をふまえて、男女別、産業別、企業規模別等の各種データベースを利用して、就業行動の理論モデルの推計を行なうための準備を進めた。 2)労働市場についての関連研究や代表的研究文献のサーベイを行い、研究内容の論点についての整理を進めた。男性の労働力率と女性の労働力率の水準は大きく異なるにも関わらず、男性の失業率と女性の失業率の水準自体には大きな差はない。男女で就業行動が異なるとしたら、なぜ男女で失業率には大きな差がみられないのかをあらためて研究の要点として、研究文献のサーベイを続けている。また、この疑問に対する仮説をモデルとして、定式化を試み、検討を進めている。なお、推計結果については、現段階では必ずしも満足できる経済学的含意を得られていないため、引き続いて研究計画の第2年度においても、モデルの定式化を試みて、研究内容についての完成を行っていく。
|