2004年度は、医療貯蓄会計の最適分析に関して、理論・実証面の両方から分析をこころみた。 理論編 まず市場が不完備で動学的決定がなされ、かつ情報の非対称性がある場合にどのように社会保険制度をデザインしてゆけばよいかという分析を行った。この論文は、2004年秋日本経済学会で"A Use of consumption tax with Wage Tax in an Incomplete Market"として発表した。現在審査国際的学術誌で審査中である。 また最適なシステムの構造を明らかにするためには、sub-Slutsky matrix (Sulutsky matrixの一部分)の構造が決定的な役割を果たしていることが研究から明らかになった。そしてそのsub-Slutsky matrixのランクは財の数がNの場合、N-1であることを示し、最適条件でsub-Slutsky matrixは逆行列を持つことを証明した。これと関連する結果を"Note on sub-Slutsky matrix and optimal taxation analysis"にまとめた。現在この論文は、国際学術雑誌で審査中である。 実証分析編 実証分析に関しては、それを行うための方法論に関する研究をまず行った。これは、筑波大学講師川口大司氏との共著で"The efficient moment estimation of the probit model with an endogenous continuous regressor"としてまとめられて、現在国際学術誌で審査中である。 また具体的なデータを使った推計に関しては、国民生活基礎調査、消費生活パネル調査を使って推定中である。
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