研究概要 |
本年度は昨年度取りまとめた2つの論文(筒井・佐竹・内田(2005,2006))の分析を精緻化し、学術雑誌への投稿を行う作業を行った。同論文では銀行の組織的非効率性と規模の不経済性の推定式と、それらが銀行規模に与える影響を調べる推定式とを別々に(逐次的に)推定していたが、この方法は計量経済学的に十分なものとはいえないことが分かった。そこで、本年度においては同時推定の方法を検討した。その結果、同時推定のためには複雑な尤度関数を考え、また非効率性の推定方法についてもこれまでのものと代替的なアプローチを採用することが望ましい可能性もあることが分かった。こうした検討作業はかなりの時間を要するものであったが、推定式および推定方法についてはほぼ検討を終了し、現在推定作業を行っているところである。今後はなるべく早く結果を確定し、投稿を行いたい。 また、銀行の流動性創出機能に関する日米比較についても引き続き研究を行っているが、同研究の元となった米国の研究(Berger and Bouwman(2005,mimeo.))において流動性指標の計算に多少問題があることが分かり、本研究で行う日米比較においてもこの問題を解決する必要があることが分かった。この作業をなるべく早期に終え、論文を完成させて学術雑誌への投稿を行いたい。
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