地方税制として望ましい環境税のあり方を検討し、現在、各地方政府で導入されている環境関連税制として森林環境税を対象に、どのような効果を持つかを分析した。とくに、地方税として望ましい森林環境税のあり方について分析するとともに、現行の森林環境税の性質について明らかにした。 森林環境税は県民税均等割超過課税方式により課税が行われており、租税としては目的税ではなく普通税である。また、税収は基金を設立するなどの方法により、森林環境保全に関係する分野への支出に限定している。地方税としての形式上(もしくは地方税法上)は県民税の超過課税に過ぎないものを実質的に法定外目的税として機能させる仕組となっている。 県民税を使って森林環境保全費用を調達するという方式を採用する根拠となっているのが受益者負担の考え方である。すなわち、森林環境税は税収を目的とするのではなく、広く薄く負担を行うことが意図されていることになる。 形式上は普通税として導入し、実質的に目的税化するという方式を採用した理由には、新税の導入にかかるコストの負担を避けるというものがある。 望ましい地方税として森杯環境税を評価した場合、現行の森林環境税は当初の意図から離れて、中途半端なものになってしまったといえる。地方税原則および効率的な資源配分の観点からは、固定資産税や都市計画税を活用した森林環境税の構築が望ましいと考えられる。また、課税自主権の行使により地方政府の自立性を発揮する際に、独自課税を行うための費用負担に耐えられないという状況は憂慮すべきことであると考えられる。
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