平成18年6月24日に東京大学経済学部で開催された政治経済学・経済史学会(旧土地制度史学会)春季総合研究会「『共同体の基礎理論』を読み直す-共同性と公共性の意味をめぐって-」において、「共同体の『ゲルマン的形態』再考-静態モデルから動態モデルへ-」と題する報告を行った。翌年4月には同研究会を基にした論文集『大塚久雄「共同体の基礎理論」を読み直す』(小野塚知二・沼尻晃伸編、日本経済評論社)が出版され、上記の報告と同名のタイトルの論文を寄稿した。研究会では、近世日本農村史の研究者と討論する機会を得、近世土地制度の日独比較にかかわる貴重な論点を発見した。現在、その論点を敷衛しつつ、「日本およびプロイセンにおける近世農民の土地所有-比較史の試み-」という論稿を作成している。 平成18年7月21日に、慶應義塾経済学会ミニコンファレンス「社会史の実証と方法」において、「東エルベの農民1648〜1806年-『ミクロの社会史』による多面的で多様な実像への接近-」と題する報告を行い、三田学会雑誌上の同コンファレンス小特集に、「ドイツ・東エルベの農民1648〜18061年-『ミクロの社会史』による多面的で多様な実像への接近-」というタイトルの論文を寄稿した。これは、研究代表者の近世ブランデンブルク農村史にかかわる年来の研究成果を、社会史の方法論に絡めて総括したものである。 昨年度の段階で完成していた著書原稿Ruppiner Bauernleben 1648-1806: Sozial-und wirtschaftsgeschichtliche Untersuchungen einer landlichen Gegend Ostelbiens aus mikrohistorischer Perspektiveについて、ブランデンブルク州立古文書館刊行の図書シリーズへの採否の審査が完了し、近く同シリーズの一冊として刊行されることが決まった。
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