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2004 年度 実績報告書

近代日本の工業化過程における家族小経営の変遷-機屋の「おかみさん」の役割を中心として

研究課題

研究課題/領域番号 16730184
研究機関神戸大学

研究代表者

橋野 知子  神戸大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (30305411)

キーワード問屋制 / 工場制 / 生産組織 / 桐生産地
研究概要

家族小経営の変遷におけるおかみさんの役割の実態とその変化という本研究の大きなテーマのうち、(1)家族小経営の変遷のケーススタディ、ならびに(2)おかみさんの役割の実態を明らかにするためのフレームワーク作りを中心に作業を進めた。(1)については、「問屋制から工場制へ-戦間期日本の織物業」(岡崎哲二編『生産組織の経済史』、東京大学出版会、2005年・近刊へ寄稿)として研究成果をまとめた。そこでは、1910年代後半から1920年代にかけて、群馬県桐生産地で進展した力織機化と工場化が、労働市場の変化ならびに多品種少量生産から少品種大量生産という機屋の戦略の変化という理由によるものであったことを明らかにした。特に、問屋制の展開と密接な関係にあった高付加価値品の多品種少量生産が、低付加価値品の少品種大量生産へと転換した理由を、1920年代の不況と絹から人絹への原料糸の転換という製品市場・原料市場のあり方の点から検討した。
上で確認されたような生産組織の変化が、おかみさんの役割にどのような影響を与えたのかを明らかにすることが、次の課題となる。機業経営者とその妻だけの小経営におけるおかみさんの役割は、これまでの聞き取り調査により、帳簿つけ、作業場内で製織に従事、顧客への対応などがあったことが確認されている。流行の変化が激しくなると、経営者にとってマーケティングも重要な仕事の一つとなるため、彼が工場をあけることが以前に比べて多くなるという。また、生産組織が問屋制から工場制へと変化し作業場内での生産が恒常化すると、従来からの年期工のみならず反織工と呼ばれる通勤出来高女工や機械修理工(男工)が必要とされた。工場規模が拡大するにともなって、おかみさんの仕事は、そこでのさまざまな仕事のコーディネートや人間関係の調整なども含め、より複雑になっていったものと思われる。
よって、来年度おかみさんの役割を本格的に検討するフレームワークとして、技術・生産組織の変化ならびに流行市場の実態が彼女の役割にどのような影響を与えたのかという観点を積極的に取り入れ、Okamisann's role in family business : the importance of owner's wife on the management strategy in modern Japanese textile industry (International Economic History Conference, Helsinki, August 21-25, 2006で報告予定の論文)のためのサーベイ、聞き取り調査を引き続き進める予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2005

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 生産組織の経済史2005

    • 著者名/発表者名
      岡崎哲二 編
    • 出版者
      東京大学出版会(未定)

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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