本研究の目的はホワイトカラーを対象とし各職種に適した人的資源管理を探求することである。そめ目的を果たすために、職務特性モデルを援用した各職種の分類、各々のグループとモチベーターやキャリア意識といった心理的特性の関係分析、心理的特性の差異と人的資源管理諸施策に対する認知の関係分析などを行う。 本年度はこれらのプロセスの準備段階として、質問表調査に向けた各概念の整理と基礎的データの収集に努めた。具体的には文献調査とインタビュー調査を中心に行った。 文献調査においては、職務特性に関する諸研究と研究開発技術者やホワイトカラーのマネジメントに関する諸研究のレビューを行った。職務特性に関する諸研究から、職務の自律性やタスク重要性、フィードバックなどの次元により職種を分類することが可能であることを明らかにした。また、研究開発技術者やホワイトカラーのマネジメントに関する諸研究から、コミットメントやロイヤリティ、モチベーターといった心理的特性が職種によって異なることを明らかにした。さらに職種が類似していても地位や経験年数によっても心理的特性が異なることも明らかにした。 インタビュー調査は複数企業の人事担当部門及び多様な職種の従業員を対象に行った。本調査から、研究開発技術者の心理的特性は、既存研究で明らかにされているような心理的特性を備えていることが明らかにされた。それに加えて、事務系職種や営業系職種も擬似的な組織外の準拠集団を構成し、組織外へのロイヤリティや仕事に内在するモチベーターを持つことが明らかにされた。
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