本年度は、イタリアのナポリ大学で開催されたEIASM(欧州マネジメント科学研究機構)のRENTと呼ばれる起業者研究の部会において、起業家によるネットワークを通じた学習のプロセスについて報告をおこなった。RENTでの報告を通じ、ソーシャル・キャピタル論、知識マネジメント論、組織論における研究者から新たな知見やコメントを得て、日本と欧州における問題関心の違いや意見の交換をおこなうことができた。また、報告の際の提出論文は、ベスト10ペーパーの一つに選ばれ、今後リファインと審査を重ねた上で、起業者研究上での新しい分析アプローチとして、同学会がもつ2007年のウェブ誌上での公開が許可されることとなった。 本年度は、文献調査とインタビュー調査から、日本とイタリアにおける経営者のネットワーク形成の同質性と異質性について把握することが大きな目的であり、とりわけ起業のプロセスにおいてインフォーマルなネットワークの形成のあり方に違いがあることが確認された。この点については、来年度は、これまでおこなってきた調査と研究を総括し、論文を完成させる予定である。
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