平成16年度の後半より「国際ビジネスキャリア志向を求める若年層の進路選択意識と多国籍企業の人材募集戦略」の研究補助の採択が認められ、これまで研究を進めてきた。しかしながら、本研究のための活動開始が遅くなった分、当初の計画を十分に進めることができない部分があり、来年度は計画的な研究を進め、これまでの遅れを取り戻していきたいと考えている。 平成16年度は、「ニート」に代表されるような若年層の進路選択意識についての研究や調査の収集をおこなった。こうした若年層の労働意識が社会的な関心、耳目を集めるものとなっている点については、雇用環境全般の変化を読み取る必要があり、新しい労働環境の変化に対する先行研究を検討した。 これまでの雇用研究ならびに人的資源管理の主眼は、企業組織に組み込まれた後の労働者の意識であった。特に近年では、バブル崩壊後の産業構造の変化に伴うリストラや成果主義の導入など、労働環境はめまぐるしく変化し、少子高齢社会も加速化し労働環境はめまぐるしく変化している。こうした企業組織の担い手たる中高年層を取り巻く労働環境の変化に相関して、若年層の労働に関する意識も大きく変化していると考え、労働環境の変化に関する最新の文献や調査研究などを収集した。本研究で取り組もうとしている対象は、企業組織に組み込まれる前の労働者予備軍、組織構成予備軍としての若年層の労働に対する意識であり、またそれに対応する受け入れ組織である企業の戦略である。本研究では、平成17年度よりヒアリング調査を開始して、企業と若年層の意識関係を概念モデルで示し、実証研究(インターネットによるアンケート調査)を通じて、若年層の国際ビジネスキャリア志向はいかなるもので、企業はどのようなマッチング関係を構築しようとしているのかを解明したい。これを解明することによって、国際経営教育プログラムの開発へと繋がるものと確信している。
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