平成19年度に、予定していたアンケートの作成と配布先の選定調査などをおこない、現在、アンケートの配布と回収を継続しておこないながら、十分なデータサンプルの獲得に努めている状況である。アンケート配布先である多国籍企業の選定整理などに時間を要し文献整理などから研究方法の修正などの検討などもおこなっていたために、大幅に本研究が遅れて進行してきたことは否めない。 現在、本研究では「多国籍内部労働市場」モデルを援用しながら、日系多国籍企業と日系以外の多国籍企業の若年労働者獲得における施策の違いが明らかになることについても、調査の実施により明らかになることが期待できるものとなった。 また、多国籍企業の人材の中で「第三国籍人材(従業員)third country nationals」と呼ばれ、自分の国籍企業国籍、働いている土地(国籍)が異なる環境で働く国際人材要員の確保などの施策についても現在おこなっている調査でやがて明らかになる予定である。これまで第三国籍人材は自然発生的、偶発的な産物としての人材と位置づけられてきた。しかしながら、この人材の世界性に注目をすれば、多国籍企業の新しい担い手としても注目でき、多国籍化の中核であると推定される。これまで第三国籍人材の研究は、決して、これまで十分におこなわれているとは言えず、研究蓄積という観点からも有用な調査になると考えられる。 さらに副次的な研究成果として、本研究により、企業の国際化、グローバル化が進展する中で、日本人に求められる知識、経験など、また、グローバル人材を育成するための教育的課題などについても提言できると思われる。
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